19 10月 2021
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クレマン・ド・ボルドーはボルドーの最新アペラシオンの一つ(1990年)で、手摘みの収穫、シャンパーニュ方式に則った瓶内二次発酵など、厳格な仕様書に沿って作られています。ボルドー栽培地のどこでも生産可能で、近年、記録的な成功を収めているワインです。非常に手の届きやすい価格帯(フランス国内価格5-20€、平均6€)ながら、この発泡性ワインはあらゆる状況に完璧にマッチします。友人との飲み会から家族での食事、年末年始のパーティーなど、普段使いからお祝い事までに対応するオールマイティなワインなのです。 

「一朝一夕に、クレマンの生産者になることはできません。優れた職人のように、深い知識や技能を得とくしなければならないからです」と、モンターニュ・サンテミリオンのクレマン生産者であるリオネル・ラテロンは強調します。彼の曽祖父は、1897年には既にクレマンを作っていました。 

このワインに特化したぶどう栽培、収穫は手摘み、最初の発酵はタンクで行い、2回目の発酵はボトル内で行う。このように、シャンパーニュ製法に則した厳格な仕様書に沿って、クレマン・ド・ボルドーは生産されます。 

先ずはぶどうの話しから。「クレマンでは全てのボルドー品種の使用が許可されているので、その点とても自由です。好きな色を用いて、好きなように絵を描くことができます」と、リオネル・ラテロン。実際、白・黒両方の全てのボルドー品種が、仕様書で認められています。「ブラン・ド・ブラン(白ぶどうのみを使用)にはセミヨンを100 %、ブラン・ド・ノワール(黒ぶどうのみを使用)にはカベルネ・フランを100 % 用いることが多いです」と語るのは、サンテミリオンのクロワートル・デ・コルドリエの支配人、スタニスラス・カティオです。 

 

ソーヴィニヨンと違って、セミヨンはシャンパーニュ地方で用いられているシャルドネに近い品種です。長期の熟成が可能で、ブリオッシュやトーストの香りが現れてきます。 

 

ぶどうの収穫は手摘みに限定されています。「ぶどうを完全な状態で圧搾することを重視しているからです」と、リオネル・ラテロンは説明します。ぶどうの運搬に関しても、果汁が流れ出るよう小穴が開けられ、ぶどうが潰れないように高さが60cm に制限された容器の利用が仕様書で義務付けられています。 

タンクでの一次発酵の後に、収穫年の異なる複数の原酒がアッサンブラージュされることがあります但し、単一ヴィンテージのクレマンも生産されています。「年によってぶどうの出来は異なります。収穫が近づいて、たぐい稀な品質だと確信したら、その年のぶどうだけを用いたヴィンテージ・クレマンを作ることがあります」と、スタニスラス・カティオ。 

fermentation

一次発酵を終えたワインにリキュール・ド・ティラージュ(酵母と蔗糖)を加えて瓶詰すると、ボトル内で2回目の発酵が始まります。この瓶内二次発酵は伝統的なシャンパーニュ製法の大きな特徴の一つです。6-8週間で酵母が蔗糖を食べつくし、その過程でアルコールと炭酸ガスが発生します。こうしてスパークリングワインが生まれるのです。「仕様書の規定の範囲内で、炭酸ガスの発生をできるだけ抑えて、控えめな発泡を目指します。気泡のきめ細かさはここで決まるからです」。 

続いて、ラット(横木)での育成が始まります。この期間は9-12カ月以上とされていますが、ここでもコルドリエのクレマンはユニークです。  

 

サンテミリオンの私たちの熟成用カーヴで、キュヴェを4-8年間休ませます。この長い熟成中に、ふくよかさや繊細さなどの官能特性が備わってきます。

 

ルミュアージュ(ボトルを横に寝かせておき、側面に溜まった酵母の残滓や澱を、徐々に瓶口に集める作業。動瓶)が終わったら、デゴルジュマン(澱抜き)の番です。瓶口を溶液に浸して、そこに集められた澱を凍らせます。この状態で栓を開けると、内部の気圧によりこの氷塊が飛び出します。 

le sédiment de levure

最後に、門出のリキュール(ワインに蔗糖を溶かしたもの)を添加してコルクで打栓し、ミュズレ(針金製の栓おさえ)で固定します。「これで、一通りクレマンの体裁が整ったことになります」と、リオネル・ラテロン。 

 

今日ボルドーで生産されるクレマンの殆どは、《ブリュット brut》と呼ばれる、1リットル当たりの糖分が12 g以下のものです。消費者の嗜好に合わせてのことです。これより遥かに甘いドゥミ・セック(1リットル当たりの糖分が32-50g)などは、もはや求められなくなってきています。 

 

「門出のリキュールは、酸味と甘みのバランスを整えながら、ワインの香りを引き出してくれます。この最終プロセスには、リキュールの蔗糖の代わりに濃縮したぶどう果汁を加えたり、オーク樽で熟成した古いワインを用いたりと、多くの選択肢があります。ハムにスモークの香りをつけるように、クレマンに最終的な仕上げを施すのです」と、スタニスラス・カティオは語ります。 

 

 

シャンパーニュ、クレマン、プロセッコの違いは? 

《シャンパーニュ》と呼べるのは、シャンパーニュ地方産のスパークリングワインだけです。この呼称は登録商標にあたります。《クレマン》は、シャンパーニュ地方を除くフランス国内で、シャンパーニュ方式(瓶内二次発酵)で作られた全てのスパークリングワインを指します。クレマンは、アルザス、ボルドー、ブルゴーニュ、ディ、ジュラ、リムー、ロワール、サヴォワの8つのアペラシオンで作られています。 

クレマンがAOP(EUの原産地保護名称。フランスのAOCに相当)を認められるためには、それぞれの地方で規定された生産方法に従わなければなりません。 

クレマンとシャンパーニュの主な違いは、ぶどう品種とテロワールです。(シャンパーニュの品種は、シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ)。 

もう一つの違いは、育成期間です。瓶詰めから販売までの育成期間は、クレマンでは9-12カ月以上(門出のリキュールが完全にワインに同化するために要する期間)と定められているのに対して、シャンパーニュでは15カ月以上、プロセッコでは1カ月とされています。 

プロセッコは、より速く、より低コストで作られるイタリアのワインです。手摘みではなく機械で収穫し、2回目のアルコール発酵はボトル内ではなく、圧力下の密閉式タンクで行います。発生した炭酸ガスを、対圧を用いたボトリングにより、ワインの中に閉じ込めます。このプロセスに、最低3週間かかります。 

 

クレマン・ド・ボルドーが生まれた経緯 

当地方では19世紀に入ると、ジロンド県やボルドーの住宅建設用に、地下から石を切り出すようになりました。 こうしてできた地下トンネル内は高湿度で温度差が非常に小さく、そこで徐々に発泡の技術が発展。白やロゼのスパークリングワイン(フランス語でヴァン・ムスー)が生産されるようになったのです。 

1943年3月のデクレが、AOC《ボルドー・ムスー》を認可。その後、生産者らがこれより遥かに厳しい生産方法を規定し、1990年4月3日付デクレで、AOC《クレマン・ド・ボルドー》が誕生しました。 

 

クレマン・ド・ボルドーの販売、記録的な伸び 

今日、ボルドーワイン総生産量の1 % に留まっているものの、クレマン・ド・ボルドーの生産量は180万本(2010年)から900万本(2018年)へと、10年足らずで5倍に増えました。 

競合するAOPと比較して、この成功は確かなものとなってきています。2019年、スーパーマーケットでのAOPクレマン・ド・ボルドーの販売本数は140万本(前年比 +19 %)、売上高は770万ユーロ(前年比 +19 %、インフレ率 +1 %)に達しました。これにより、シャンパーニュを除いたフランスのAOPクレマン中で、クレマン・ド・ボルドーが3年連続で、最も速く成長していることが証明されました 

la dégustation

パーティーの頼れる味方 

クレマン・ド・ボルドーは 誰にでも手の届くスパークリングワインです。フランス国内での価格帯は5-20€、平均価格は6€。適温は7℃-11℃で、お祝いごとなど、あらゆるシーンにマッチします。アペリティフからデザートまでに対応し、例えばカニやエビなどの甲殻類、サーモン、チーズ、白身の魚、赤い果物のデザートなどとの相性は抜群です。ある程度ボリュームのある、一般的なワイングラスで供することをお勧めします。 

 

中にはこんなクレマン・ド・ボルドーも 

  • クレマン・ド・ボルドー “ブラン・ド・ブラン”:白ぶどうのみで生産 
  • クレマン・ド・ボルドー “ブラン・ド・ノワール”:黒ぶどうのみで生産。果汁は無色 
  • 亜硫酸塩無添加ワイン:ただし、発酵過程で硫黄化合物が自然生成され、ワイン中に残る 
  • ワインでカクテル:クレマン・ド・ボルドーとフルーツジュースや蒸留酒のペアリング。ミクソロジストの創造性を刺激することでしょう。 
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