松木さんによると、年末年始を日本料理で祝う場合は、様々な風味を採り入れることが大切だとのことです。エキゾチック、フレッシュ、スパイシーなどの異なる味わいを網羅する日本料理は、そのバラエティの豊かさが魅力だからです。従って私たちは、お客様の新鮮な食体験のために、各料理毎のワイン選びに挑戦することになります。
食事をちらし寿司で始める場合、クレマン・ド・ボルドーを合わせて魚の繊細な味を泡で包み込んではいかが、と松木さん。フレッシュで溌溂としたこの発泡性ワインは、ちらし寿司のデリケートな味を引き立ててくれるそうです。
また、前菜を鰻にした場合はどうしたらいいでしょうか。繊細さとパワーを併せもつ鰻には、ふくよかでフルーティ、そしてビロードの舌触りをもつボルドーやボルドー・シュペリウールの赤ワインがぴったりだそうです。
松木さんが主菜に勧めるのは、お祝いの席に欠かせないすき焼きです。これにはカベルネ・ソーヴィニヨン(メドック原産と言われている)主体の赤ワインが理想的だそうです。牛肉の強い風味をしっかり受け止めてくれるからです。
食事を締めくくる甘味として彼女が勧めるのは、餅菓子とソーテルヌの組み合わせ。甘味がしつこくならないよう、既に熟成したワインを選ぶのがコツだそうです。少々の酸味と素晴らしく豊かなアロマを備えたソーテルヌは、この種のデザートの最高のパートナーです。
松木さんはテレビ番組《ソムリエ》を見てワインに夢中になりました。そしてワインの世界で生きていくことを決めます。フランスに惹かれミシュランの星付きレストランで働きましたが、特にボルドーワインがお気に入りだったとか。数年後、日本でアカデミー・デュ・ヴァンの講師をしていた時、ボルドーワイン委員会からボルドーワイン生産地で働く機会を与えられた松木さんは、迷わずに承諾します。
現在では夢が叶い、ボルドーワインスクールの公認講師として、日本でボルドーワインへの情熱を伝えています。