1. 減農薬栽培
必要な場合のみ農薬を最小限用いる農法。農薬の使用量を明らかに減少できます。使用物質のトレーサビリティ確立が義務づけられているため、使用した農薬に関する明確な情報が得られます。
2. 統合的な栽培
減農薬栽培より厳格な栽培法です。有機農法に病害予防重視を組み合わせた農法と言えましょう。生物学、バイオテクノロジー、栽培法を統合して病害虫に対する農薬の使用を制限します。
3. 有機栽培
合成有機分子を含まない物質(銅、硫黄、植物系殺虫剤)を用いることで、生態系や豊かな土壌を保護します。
欧州のラベル(星で作られた葉の形)の表示が義務付けられています。以下のフランスのラベルを追加することも可能です。また«有機農法に転換中»と記載することもできます。
AB(有機農業)と表記されるフランス国内ラベルは、3年間の転換期間を義務付けています。即ち従来の栽培法を終了してからABラベルを得るまでに3年間を要します。
4. ビオディナミ栽培
地球と天体の力を考慮しながら、植物由来(例:煎じ薬)、動物由来(例:牛糞)、鉱物由来(例:石英)の素材を組み合わせた調合剤を畑に撒き、動植物の活力増加を目指します。
有機農法ワインと同様に欧州の有機製品ラベルの表示が義務付けられており、それに加えて二つの認定ラベル(ビオディヴァンまたはデメテール)のどちらか一つが表示されています。«ビオディナミ»の記載ができる場合もあります。
ビオディヴァンBiodyvinはエコセールEcocert規格に該当するぶどうから生産されたワインであることを保証します。
デメテールDemeter認定を得るには手摘みでの収穫、ビオディナミに基づいた清澄作業が義務付けられています。或る種のろ過も認められています。ビオディヴァンよりも厳格なデメテールは、銅や硫黄の使用量を有機農法ワインの半分に定めています。
人気上昇中の«自然派»と呼ばれるワインは亜硫酸塩の添加量が少ない1か、全く添加されていないものを指します。しかし正式な規定はなく、それぞれの団体が自由に生産条件を定めています。
自然派ワイン協会(AVN)は法的な認定取得を目指して活動しており、そのメンバーに向けた仕様書を作成しました。その中で、発酵には野生酵母のみを許可、逆浸透膜・高温短時間殺菌法・サーモヴィニイフィケーションなど過激な作業と亜硫酸塩その他の添加物を禁止しています。最近INAO(国立原産地品質研究所)のワイン・アペラシオン委員会に計画を提出しましたが、希望していた法的な認定制度の確立には至りませんでした。
自分たちの真摯な取り組みを証明するため、生産者たちは複数の《環境保全認定》プログラムに参加することができます。
HVE(環境価値重視)はSME(以下を参照)と密接に結びついています。ぶどう栽培が生物多様性などの環境に及ぼす影響、農薬の使用、土壌の肥沃性について目標を定め、指標に基づいて評価します。
テラ・ヴィティスTerra Vitis:自然資源の保護を最重要課題に上げており、減農薬栽培を認定する唯一のラベルでもあります。
ボルドーワイン環境管理システム(SME)はISO 14001に認定されており、エネルギー消費から職員の労働までの全ての活動を対象に、環境への影響を評価し改善するシステムです。これまでにボルドーワイン業界の773社が参加しています。
アグリコンフィアンスAgriconfianceは使用原料の削減、廃棄物質の規制管理、自然資源の有効利用を専用の仕様書に則って実施している生産者に与えられます。
RSEアグロ RSE Agro (3Dから改名:Destination目的地、Développement発展、Durable維持の意味)は、農業を営む企業に持続可能な発展の働き方を紹介し、その継続を援助しています。
アレアAREA(アキテーヌ環境保全型農業)は環境に配慮しながら働く農家を支援しています。
10年以上前から、ボルドーワイン業界は様々な職種間の横の連携を強めて一体となり、環境保護・農薬の使用量削減・近隣住民との協議・環境保全対策の説明紹介に努めてきました。計画には当地方の特質が考慮され、また個人レベルでの実践も推奨しています。
この根本的な改革にはアペラシオン保護監視組織(ODG)のうち7団体も参加しており、数カ月前に彼らは仕様書に農業環境に関する対策を新たに盛り込みました。仕様書の中には、除草剤の使用禁止・抵抗力の強い品種の導入・一つ以上の環境保全ラベル取得義務などが記載されています。既にINAOに認可されており、夏までには新しい仕様書が正式に発効するはずです。これはボルドー生産地が環境保全に積極的に取り組む姿勢を象徴するものと言えましょう。
1 いくつかの協会は亜硫酸塩の許容添加量を白ワインで40 mg/l、赤ワインで30 mg/l に規定しています。